白蝶の由来
学校の象徴は、何といっても校章です。学院設立と同時に、白蝶の校章は生まれ、半世紀も生きてきました。創立者は白蝶の校章に何を託し、学生に何を語りかけているのでしょうか。「三十周年記念誌」で創立者は、次のように記しています。
「私は、学院の象徴となる図案を絵の岩永文六先生に依頼した。当時の文六先生の手記をそのまましたためよう。 『マークを依頼された時、不思議に私の中に蝶が乱れ飛んだ、白い孤蝶であった。……私の頭の中にギリシャ神話の中のプシケの話が印象深く思い出されるのだった。――中略ーーエロスとプシケの物語は、通例一種の寓意譚として解釈された。プシケはギリシャ語で「蝶」の意味を持つと同時に「心」という意味を持っている。蝶はのろのろと地を匍ひまはる毛虫の生涯を終えると、一度身を横たへ墓の底から目覚めるばかりの翼をつけて飛び出して来る。そして、きらびやかな日光の中を飛び、春の野を飾る。恐らく人間の霊の不滅の象徴として蝶の生涯ほど適切なまた美しい姿はないであろう。この意味において少女プシケは、あらゆる艱難と不幸の洗礼を受け愛の力によって、はじめて真の喜びと、幸福とを享受することのできる人間の心の象徴であらねばならない。美しい汚れのない純白の蝶が、青く澄み渡った大空を自由に奔放に舞ふ姿、それを私は図案化してみたのである。
私自身いま毛虫の生活を脱け出したような気がしているのだから、まして若き世代の女性は、もう我を忘れて舞う気分になっていることと思う。この図案にかこつけた私のロマンチックな夢は思ひがけなく早く現実となるのではなないかと思ふ。汚れのない美しさ――それは、とりも直さず永遠の美しさである。ちなみに真紅で入れた「L」はLiterature(文学)であり、Liberty(自由)であり、Life(生活)であり、Love(愛)である。文学、自由、生活、愛ーーこれらを羅列ではなく文章としてひとつ考えてごらんなさい。』 以上の趣旨を源として、出来上がったのが現在の学園の象徴としての校章である。」
現在、短大、高校、小中学校、幼稚園、歯科衛生士学院、調理師専門学校が、蝶を形どった校章になっています。